新京成電鉄の新京成線と、東葉高速鉄道の東葉高速線が接続している北習志野駅。
このエリアで不動産の売却を考えている方にとって、周辺地域における「需要」「価格」「変動要因」は気になるポイントでしょう。
今回は、北習志野駅周辺の不動産売却に役に立つ情報を提供します。
(「周辺」を「最寄り駅として北習志野駅を利用している人が住む範囲」と定義します。)
目次
データでみる北習志野駅の「需要」と「価格」
まずは、北習志野駅周辺地域の不動産の「需要」と「価格」を確認しましょう。
「需要」を見るために「乗客数」を、「価格」を見るために「公示地価」を、データで見ていきます。
北習志野駅の利用者数
電車を利用する人の数は、周辺地域の盛衰を見極めるときに役に立つ指標です。
駅の利用者が増えていれば、それだけ周辺地域の不動産の需要が増えていると言えるでしょう。
不動産の需要は売り時の判断材料になり得ます。
北習志野駅の6年間の乗降客数の推移を見てみましょう。
2013年が41,041人、2018年が43,419人なので、乗車人数が5年間で約2,200人増えていることがわかります。
北習志野駅周辺の不動産の需要は高まっているのが読み取れます。
北習志野駅周辺の公示地価
北習志野駅周辺の不動産の「価格」はどうなっているのでしょうか。
公示地価を確認しましょう。
公示地価とは、国が専門家に依頼して全国の地点を算定している不動産価格のことで、不動産取引の際などに価格の指標として活用されています。購入時よりも公示地価が上昇していれば、その土地は需要が高まっており、高く売れやすいということを示しています。
主な役割は、
- 一般の土地の取引に対して指標を与えること
- 不動産鑑定の規準となること
- 公共事業用地の取得価格算定の規準となること
- 土地の相続評価および固定資産税評価についての基準となること
- 国土利用計画法による土地の価格審査の規準となること 等です
購入時よりも公示地価が上昇していれば、その土地は需要が高まっており、高く売れやすいということがわかります。
以下のグラフが北習志野駅近くの地点の(船橋市習志野台2-66-11)の5年間の公示地価の推移を示しています。
公示地価は、2016年が約174,000円/㎡であり、2021年が約182,000円/㎡です。5年間でおよそ8,000円/㎡増加しています。
また、2017年から2021年にかけて上昇傾向にあることがグラフから読み取れます。
乗客数の増加・公示地価の上昇の2点から、北習志野駅周辺の不動産の需要は高まっていると言えるでしょう。
データから読み取れること
乗客数の増加・公示地価の上昇の2点から、北習志野駅周辺の不動産の需要が高まっていて、売却価格も上昇していると言えるでしょう。
一方で、2020年から2021年にかけて、公示地価が上昇から横ばいに転じたこともグラフから読み取れます。
これから横ばい状態が続くのか、減少に転じるのかわかりませんが、今が高値で不動産を売却する好機かもしれません。
一度査定を通じて所有する不動産の現状を確認してみてはいかがでしょうか。
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北習志野駅の不動産価格のプラス要因
公示地価が全体としてゆるやかな上昇傾向にあることを確認してきました。
今後この傾向は継続するのでしょうか。それとも減少に転じるのでしょうか。
周辺地域の市況から変動要因を考察していきましょう。
暮らしやすい生活環境が高く支持
北習志野駅の周辺は24時間営業のスーパーをはじめ、コンビニ、ドラッグストア、100円ショップなどの需要の高い店舗が多く、郵便局や銀行などの金融機関もあることから利便性に優れています。
また、近隣には教育方針に特色のある私立幼稚園から日本大学のキャンパスまで、教育機関が多く集まっているのも特徴的です。
このような環境から、一人暮らしの若い世代と子育て中のファミリー層から高い人気を得ています。
暮らしやすい環境が今後も評価されることが見込まれます。北習志野駅周辺の不動産価値変動のプラス要因とみていいでしょう。
東西南北に延びる路線が都内へのアクセスにも便利
船橋市には船橋駅や西船橋駅のようなビッグターミル駅があるため、北習志野駅は主要駅には位置付けられません。
しかしながら利用客が多く、これまでの地価公示価格は千葉県内の平均を大きく上回ってきました。
その大きな要因となるのが北習志野駅の利便性の高さです。
新京成線と東葉高速鉄道線が利用でき、北習志野駅を起点にそれぞれ東西南北へと路線が延びる形になっているため、各方面・広範囲への移動に優れています。
また、東京メトロ東西線も接続していて、日本橋や東陽町へも乗り換えなしでアクセス可能です。
東京駅や新宿駅へのアクセスにも便利なため、通勤・通学・旅行と幅広い層に魅力的な駅といえるでしょう。
高齢者と子育て世帯への手厚い支援
行政の対応にも注目してみました。
超高齢化かつ少子化の問題を抱える現代、行政がどう対応しているかは人口の流出入に大きく影響するポイントです。
船橋市には、子どもの医療費助成など、県の施策も合わせた手厚いサポートがあります。
その姿勢が顕著だったのが、新型コロナ下での独自の給付金です。
ひとり親世帯等への2度の給付(条件あり)と低所得の子育て世帯への臨時特別給付によって、迅速にサポートしました。
高齢者へは健康増進「ふなばし健やかプラン21」の取り組みや福祉バスの運用、働く機会を提供する「生きがい福祉事業団」の設置、住み替え支援事業など、やはりさまざまな角度から支援しています。
(参照元:「ふなばし健やかプラン21(第2次)後期分野別計画」)
https://www.city.funabashi.lg.jp/kenkou/iryou/004/p077880.html
船橋市には、平成20年4月に理学療法士や言語聴覚士などの専門家も勤務するリハビリテーション病院もオープンしています。
これも高齢者支援の一環として高く評価できるポイントでしょう。
人口増加傾向が続く船橋市
ここまでプラス要因をご紹介しましたが、実際のところ人口はどう変化しているのでしょうか。
「船橋市の概要」によれば、船橋市の人口推移は全体として増加傾向にあります。
その多くは、転入によるものです。
令和元年の転入数は35,482人です。
一方で、転出数は31,381人ですので、船橋市人口増加が見て取れます。
(参照元:船橋市「船橋市の概要」)
https://www.city.funabashi.lg.jp/shisei/toukei/002/p018289.html
駅周辺の開発計画
もう1点、プラス要因として挙げたいのが北習志野駅周辺の開発計画です。
2023年着工予定で、北習志野駅近くの団地型マンション「習志野台3街区住宅」488戸の建て替えが決定しています。
長谷工コーポレーションの設計によるもので、周辺地域の活性化が期待できます。
(参照元:建設通信新聞 設計は長谷工、23年着工/488戸に建替え/習志野台3街区住宅)
https://www.kensetsunews.com/archives/544526
北習志野駅の不動産価格に関するマイナス要因
北習志野駅周辺の地価は今後も上昇が期待できる一方で、下降に転じる要素も抱えています。
どのような課題があるのか、具体的に見てみましょう。
リモートワーク増加によるベッドタウンとしての価値の低下
船橋市は、これまでベッドタウンとしての人気があり、現在も東京都内や幕張エリアなどへ通勤するサラリーマンは多くいます。
ところが新型コロナにより新しい生活様式が導入され、働き方改革も後押しする形で多くの企業がリモートワークを早急に取り入れる結果となりました。
リモートワークの導入が一時的となった企業も多く見受けられますが、この流れが後退することは未だ考えにくい状況です。
さらに多様な働き方が認められ、従来のベッドタウンはその価値を下げることになります。
あらたな付加価値を見出せないうちは、北習志野駅周辺も同様に影響を受けるでしょう。
再開発が進む近隣エリアの注目度
北習志野駅の地価相場においてもっとも大きな影を落とすのが、市内のほかのエリアで進む再開発です。
・臨海部への玄関口として形成される“JR京葉線・南船橋駅南口駅前の開発”
(参照元:船橋市「船橋駅南口再開発事業の概要」)
https://www.city.funabashi.lg.jp/machi/kaihatsu/003/p010187.html
・海老川上流地区における“医療・福祉の充実を図る整備と開発”
(参照元:船橋市「海老川上流地区のまちづくり」)
https://www.city.funabashi.lg.jp/machi/kaihatsu/002/p045319.html
海老側上流地区の計画では東葉高速線の新駅の構想も持ち上がっています。
船橋市へ流入していた人口が、これらの地区に集中する可能性があります。
周辺地域の魅力が上がり、北習志野周辺地域は相対的に価値が下がる可能性があります。
北習志野駅周辺の人口推移
最後に、懸念材料として北習志野駅周辺の人口推移について取り上げます。
船橋市としては増加傾向にありますが、実は北習志野駅周辺は事情が異なっています。
人口に関して、駅の所在地である習志野台3丁目と、周辺エリアとして習志野台町丁計を過去5年で比較したものが以下のデータです。
抽出年 | 習志野台3丁目(人) | 町丁計(人) |
---|---|---|
平成29年 | 4,905 | 34,526 |
平成30年 | 4,862 | 34,750 |
平成31年 | 4,791 | 35,166 |
令和2年 | 4,782 | 35,422 |
令和3年 | 4,629 | 35,653 |
5年での増減人数 | △276 | +1127 |
(注)すべて4月1日の数値とする
参照元:船橋市「人口統計資料」町丁別人口
https://www.city.funabashi.lg.jp/shisei/toukei/003/p020198.html
町丁計としては船橋市と同じくゆるやかな増加傾向にありますが、駅の所在する3丁目は徐々に減少しています。
駅周辺の活性化を図るうえでは気になる変化です。
土地の相場にすぐに影響する数値ではありませんが、今後も注視しておきたいところです。
一度査定を通して現状を把握しておくといいかもしれません。